セカンドアルバムの発表の翌年には待望のライブ活動がスタートする。「BACK TO MONO」と名付けられたこのツアーはクラブクアトロを中心に全国5箇所で行われたが、チケットはすぐに完売、彼らのライブに対してのリスナーの関心の高さを裏付ける形となった。さらに、このライブで多くのリスナーや音楽関係者が彼らに抱いていた「緻密で密室的な」イメージを大きく裏切る事となる。時折、彼らの敬愛するミュージシャンのカバー曲とともに演奏された楽曲群はCDで聞かれるサウンドを正確に再現しながらも生でしか有り得ないグルーヴで会場を包み込む様は、ライブバンドとしての実力を十分見せつけるものだった。
ライブでの手ごたえを得た彼らは、渋谷公会堂やパルコ劇場での連続5日間ライブなど精力的な活動でファンを獲得する傍ら、両A面扱いのシングル「恋のタンブリング・ダウン/君に虹が降りた」を発表、そしてその二曲を軸にその時点で入手不可能だった「L」収録楽曲と、プロモーション用に配布されたアウトテイク等をコンパイルしたラジオショー仕立ての編集アルバム「LOST RARERITIES」を発表する。
この時点で4人のメンバーを始め、スタッフチームが次のオリジナルアルバムの製作拠点として選んだのが、ポップ・ミュージック発祥の地、アメリカであった。
後に、グリーン・デイ、ローリング・ストーンズ等を手がけるジャック・ヨセフ・パイクをエンジニアに迎えて製作された3枚目のアルバム「Land of Riches」は、それまで緻密なサウンド職人的なイメージで語られる事の多かったL⇔Rを、詞に海野少年を迎えることによって描き出す事に成功した退廃と明るさのコントラストを兼ね備えた楽曲群は、彼らのアルバムの中でも群を抜いたトータリティを誇っている。
シングルとしても発表され、ブライアン・ウィルソン、フィル・スペクターなど彼らの敬愛するミュージシャンへのサウンドオマージュと、過ぎ去った夏のイメージを見事に曲の中に融合させた名曲「君と夏と僕のブルージーン」、退廃したアメリカの風景を切り取ったような、その後の彼らのライブでの定番曲となる「Land of Riches」、初期のエルトンジョンの作品を手掛けたデヴィッド・キャンベルをストリングスアレンジに迎えて、人生における出会いと別れの風景を見事に描いた「イクイノックス」など、普通のロック・ポップバンドとしての枠に収まらない芳醇な音楽性を提示した初期のL⇔Rサウンドの完成形と言えるだろう。
ライブを定期的に行い、それと同時にメディア等への露出も急激に増えてくる中、嶺川貴子が脱退、その後彼女はソロとして独自の道を進むこととなる。